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  • Kanako

アメリカと日本の大学院の違いーそれぞれのメリットデメリットー

更新日:2020年8月20日


以前、海外留学を考えている友人から「アメリカと日本の大学院の違いってなにかある?」と質問を受けたので、その回答をブログにも載せておこうかと思います。

ちなみに私はポスドクから海外に来ていて、学部〜博士課程卒業まで全て日本にいたのでこの認識が正しいかはわかりません。しかも今の所属は研究所で大学では無いので、あくまで側から見た意見としてお読みいただければと思います。また、後半は大学院というより海外に出ることの重要性を謳っているような..タイトルに沿わなくてすいません。。。

アメリカの大学院のメリット

・多国籍の人がいるので他文化を知ることができる→視野が広がる

・英語でコミュニケーションするので、英語が上達する

・学費・生活費を給料として払ってもらえる(場合が多い)

私が体感したわけではないですが、試験の合格基準点が高くて必死で勉強しないといけないから自然と学力も高くなるというブログを良く見かけます。「読書や文章を書くトレーニングを厳しく学生に課し、学問や研究の基礎能力を身につけさせる」とのこと。すなわち周りも必死で勉強をしているので「自分も負けない!」と思い非常に勉強するようになるということがアメリカの大学院の最大のメリットだと感じます。日本はこの部分が弱いですから(自戒も込めて)。

ものすごく月並みですが、世界にはいろんな人種がいて、いろんな考え方を持った人がいる、ということを知ることで日本にいるだけでは頭に登ることもなかった物事に目がいくようになったりします(肌の色のこととか保険や政治のこととか)。また世界各国から人が集まるので、友人の出身地域のニュースが流れていると見るようになりますし、そのことを話題にすることでその地域について理解が深まり、最終的には世界平和に繋がるのではないかなという気がします。(ちょっとトンでる?)

アメリカの大学院のデメリット

・英語が使えないと意思疎通ができないのでしんどく感じることがある

(けれど結果として英語力向上に繋がるので、結局メリットに変わりますが。)

・(場所に依存しますが)日本より生活にかかるお金が高い

西海岸や東海岸にはアメリカの中でも有名大学が多いけど、その地域は地価も高いので全体的に生活費用が高くなります。特にシリコンバレーは世界でも有数のお金のかかる地域です。中南部に位置する大学であれば生活費用は安かったりもしますが(カリフォルニアと比べて家賃は半分以下〜1/3くらい)その分多少レイシストな人もいたり銃撃事件の報道が多い気がします。

日本の大学院のメリット

・日本語で意思疎通ができるため、深い話、複雑な話もでき、ディスカッションができる

・研究の場合、(旧帝大は特に)設備が整っているため実験もスムーズに進められる

(これはアメリカも日本も同じかもだけど、とにかくお金のあるラボ・大学であれば設備が整っていて、お金がない地方だと一つの実験をするのも難しい、と思います)

・日本食がすぐ食べられる(アメリカでも大都市だとアジア系スーパーがすぐそこにあります。)

日本の大学院のデメリット

・自分の向上心が高くとも、周囲の意識が低いことが多いので、周りの雰囲気に流されて勉強の勢いが無くなってしまう→これは大きなデメリット!

・日本人特有の「空気を読む」という能力によって、言語化せずにすむ場合がある。常に言語化を求められるアメリカ(なんせ多民族国家で考え方が全然違うから、1から10まで説明しないとお互いに理解ができない)にいる場合より、自分自身の理解が深まらない(言語化できるということは自分自身がちゃんと理解しているということだから)。

以下は個人的な意見・感想

私自身はアメリカにきて大満足で、自分の欠点・至らないところが非常にクリアに把握できるため、もっと必死でやらなくちゃという気持ち(焦燥感)があります。研究者として生き残るためには世界のどこにいたって必死でやらなくちゃいけないわけですが、多分日本にいたら現状の自分に甘んじていただろうと感じます。アメリカにいる同僚は世界各国から集まっていて、根本からレベルが違う(高い!)という人がわんさかいます。学生はほとんどいなくてポスドク全員がしのぎを削るわけですから、ボスの求めるレベルも高くなるのはある意味当然かもしれません。評価も厳しい分、自分が能力を向上させるために必死こく、というかそうしないとついていけないというのが現状です。そのため最終的には生き残れるような力がつくだろうと信じる部分もあります。完全に環境任せ&思い込みですが...

「 朱に交われば赤くなる」という言葉もあるように、自分よりもレベルの高いところに身を置くことで自分もそれに近づこうと努力するようになります。それは個人差があるし、全員ができることでは無いかもしれないけれど、留学を考えるくらい気概のある人であればおそらく共通することかと思います。


アメリカに来て、日本を離れて見てみると、世界基準に達していないと感じるところは多々あります。環境問題に対する意識、政治への参加度合い、学部生の研究・就職に対する意識の高さ。どの時点から教育を変えたら日本人は諸外国の方々に追いつけるのか、非常に気になるところです。(今後の育児にも反映していきたいため、丹念に観察・調査を続けたいと考えています。)

そして自分が多くのことに対して無関心であったことを如実に突きつけられる機会もしばしば...日本の現総理大臣についてどう思うか、日本の国土はどのくらいの広さか、捕鯨についてどう考えるか、貨幣を失った時にどのような代替システムが考えられるか...等(※これらは実際にもらった質問の一部です)。さらに、日本独自の(ネガティブな)システム(日和見的な評価、総合的にでは無く一部だけの利益を考える視野の狭さ)などが見えてきてつらい時もあります。

日本に住んでいた時には気づかなかった、思いもよらなかった点に目がいくようになり、自国を客観視できるようになる、というのは海外に長期で滞在するからこそ感じることです。このような言説をかざすと「海外かぶれ」と言われ煙たがられるかもしれないですが(笑)。けれど、日本も少しずつグローバル化を目指していて牛歩のごとくですが変わりつつあるので、数年後に戻る予定なら受け入れてくれるのかな。

これからは移民だったり留学生もどんどん受け入れるように変化していくと思うので、日本は日本人が90%という国ではなくなるでしょう。

世界には日本人だけではなく多様な考えを持った人がいる、と実感できたことで、「世界」を考えるという視野の広がりを得られるというのが海外に出ることの最も大きなポイントだと思います。文字にするとかなり月並みな感じですが(苦笑)、沖縄や日本だけが世界じゃないと知ることは人間的な広がりを与えてくれます。

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