アメリカに来て早くも半年が過ぎようとしています。
アメリカに来て気づいたこと(研究・研究関連編)をご紹介しようと思います。
キット使えるところはキットで。LB培地もLBミックスとagarを混ぜるだけ。日本の時みたいにNaCl, Difco amino acid, yeast extractを測って混ぜたりしない。Miniprepもキット。日本の時はアルカリ法で、各ステップの溶液を作成していた。もちろんカラム精製も無し。どうしても必要な時だけしていたけれど。
SDS-PAGE gelやゲル染色液も日本の時は手作りしていたけど、こちらではすでにできたものを購入している。もちろんラボの財政によるとは思いますが、時間をお金で買う感覚だと思います。
コアファシリティマネジャーがいる。Carnegieは小さい研究所ですが、質量分析計の専門員と顕微鏡(光学、共焦点、SEM)の専門員がいました。なので気軽に「こういうデータを取りたいと思っているんだけど、どうしたらいいかな」という相談もできましたし、高額な機械を壊す可能性も極々低くなりました。日本でも議論になっているようですが、コアファシリティマネジャーは各大学に設置するのが絶対良いと思います。おそらくその人件費をどこから出すのか、ということが問題なのでしょうが、大学側が出すべきでしょう。コアファシリティマネジャーがいるメリットは多大で、効率よくデータを取得できますし、複数人が高額な機械を使用して壊したり痛めたりする可能性を減らしてくれます。また専門家として様々な角度からアドバイスをくれるので、実験を始めたての学部生やその領域は専門でない研究員にとっても心強い存在となります。
事務専門、IT専門の人がいる。これらの職種は日本の大学においても見られますが、小さな研究所のため事務の方やITの方との距離が近く、すぐ相談ができます。事務の人に頼めば郵便の出し方やら、ペンの場所やら、荷物の受け取りもしてくれます。またCarnegieでは所内で共有するドライブがあり、データの共有が簡単にできました。それにつなぐ際もITの方がささっとやってくれるので、慣れないVPN接続等にウンウン唸る必要なく、新人もスッとパソコン環境を整えることができました。
レセプション、ランチョンセミナー。セミナーの後にレセプションなる時間があって、軽いおつまみやお酒とともに講演者の方とゆっくり話す時間が取れます。また、ランチョンセミナーもだいたい毎週(夏期間はお休みですが)あります。他の州(デンバーやボストン)でもそのようだったので、アメリカの大学や研究所は基本的にランチョンセミナーやレセプションを開催しているのだと思います。日本ではほとんど見かけませんね。あるとしても会費制の懇親会。おそらく国から降りる研究費の内訳や予算額が異なるのだと思います。ちらっと聞いたところによると研究費の中にコミュニケーション費が含まれていて、レセプション代金やラボの交流行事の際の飲食代にあてることができるとのことです。
まず褒める。英語だと褒める言葉のバリエーションが多い気がしますよね。Great, nice, amazing, fantastic, clever, smart, などなど。あと英語だとit is great for having you.とかサラッと言えちゃいますよね。
日本の研究レベルの高さ。私は恵まれていて、たくさんの素晴らしい先輩、同僚、後輩に囲まれていた、ということもあるのですが、アメリカに来てもなんら引けを取らない、科学レベルの高さを改めて実感しました。 多分負けているのは論文を書くスピード?英語がネイティブではないというところが大きなビハインドになっているのかな。
アメリカは日本よりも研究を進めるスピードが早いように感じます。
Google Driveを使った進捗管理、家から出れないもしくは出張の際はZoomでミーティングに参加、などITを効果的に利用しているのもよく見受けられます。
もちろん立場が上になればいろんな雑務は降ってくるのかと想像しますが、ポスドクをアメリカでやるのはとても開放的で刺激も多く、研究が進められるのでオススメです。
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