学会参加時のルーティンについて
- Kanako

- 3月26日
- 読了時間: 10分
3/13〜3/16に東京で開催された第67回植物生理学会とJapan-Taiwan Plant Biology meetingに参加してきました。
その学会で、驚いたことに台湾の研究者の方から「I am the big fan of your blog. Always waiting for new posts.」というお言葉をいただきました。彼女は私より5歳くらい年下(?多分)のyoung careerの方で、ワークライフバランスについてこのブログを通して学んでいるということでした。台湾人の彼女は日本語が読めないのでGoogle翻訳を使っているとのことです。学会で会う女性研究者・女子学生からたまに「ブログ読んでます」と言われることはありますが、まさか海外の方に告白される日が来るとは!私のブログもついに世界レベルか。笑
ということで久しぶりの更新です。
おりしもXでは学会参加のポストが溢れていて、ポスターに人が来ない話などが話題だったので、このブログでは私の学会参加時のルーティンと今大会の感想戦を行おうと思います。
【学会参加時のルーティン】
1. ポスター発表の場合
ポスター発表の場合、お客さんがいると横から入りやすい、ということってあると思います。なので、ポスター発表の当日朝に出会った知り合いがいたら「今回、ポスター発表なんです。P000番です。よければ聞きにきてください!」と宣伝しまくるのがいいと思います。もしその方が来てくれれば、知り合いということであまり緊張せずに発表でき、滑らかな言葉が出てくるようになると思います。要旨集にあるポスターのタイトルを当日眺めてどのポスターに行くかを決める人が多いと思います(あれ、そんなことない?)。なんなら大御所は意外と目的なく、会場をプラプラ歩き回っているだけ、ということもあるので、自分の研究内容を聞いてほしい先生がプラプラしていればこちらからお願いして、このチャンスに聞いてもらって繋がりも作る、というのが良いと思います。さすがに事前にメールでお願いすることはありませんが、大会初日の受付会場ではけっこう多くの人がたむろしているので、その時に憧れの研究者がいたら思い切って声をかけるのが吉です。これは口頭発表でも同じです。ちなみに私の指導教員だった先生は、国際学会にて自分のポスター番号を書いた紙を多くの人に配りまくり、無事ポスター賞を受賞されたという武勇伝をもちます。国際学会でも国内学会でもやはり「人を呼び込む」というのが重要なようです。
もし事前に声をかけることができなければ、発表時間中の勝負になります。なかなか難しいかもしれませんが、まず、自分のポスター発表のときは必ず聴衆の方を見ること。人が聞きに来ないと自分のポスターを見つめてしまいがちになりますが、それだと通り過ぎる人の視線に気づくことができません。自分のポスターの脇に立って、通り過ぎる人々を観察して、少しでも自分のポスターを見ていそうな気配があれば「よければ説明しますよ!」とにこやかに声をかけて捕まえるのが良いです。声をかけても「あ、いえ…」と目を伏せて足早に過ぎ去る方もいるかもしれませんが、人間声をかけられたら呼応したくなるもので「あ、じゃあ…」と聞いてくれる人はけっこういます。捕まえたら、あなたのトーク力を遺憾無く発揮して、研究内容がいかに面白いかを熱く語るといいでしょう。とはいってもあまり長々と話してはいけません。5分くらいでさっくり話すバージョンと10分くらい熱量たっぷりに話すバージョンと2つ準備しておきましょう。初めは5分バージョンで様子を見つつ、相手が話に引き込まれていそうであれば、10分バージョンにする、というように柔軟に対応しましょう。ポスター発表時間は60分〜90分程度。10分も話されると見たい他のポスターを見て回れなくなります。捕まえた相手を長く引き留めすぎず、キャッチ&リリースするのが重要です。
もしお隣のポスターも閑古鳥が鳴いているようであれば、「あのー、よければ聞いてもいいですか?」というように、お隣の発表を聞くのもいいと思います。上の理論と同じで、人が聞いていると他の人も「お、このポスター面白いのかな?」と足を止めてくれます。ただ、隣の人が自分のポスターを聞いてくれているときに、隣のポスターに聴衆が来た場合はスッと「あ、人が聞きに来てますよ。どうぞ説明なさってきてください。」とスマートに対応しましょう。そうやって、お互い隣同士でポスターを聞き合うと意外と興味が近くて(たいていポスターは分野ごとに番号が付けられているはずですから)繋がりができる、ということもあると思います。
2. ポスター聴講の場合
聴講者として聞く立場になった場合、発表者としての経験がある方ならお分かりでしょう。自分のポスターに閑古鳥が鳴いていた時の寂しさを。もちろん自分の興味のある研究内容のポスターを優先的に回るべきですが、目当てのポスターに人がたくさんいて入るのが難しいときは近くのぽつねんとしている方のポスターを聞いてあげるのも良いと思います。説明を聞くと、タイトルだけではわからなかった面白さを知ることもよくあります。そういう偶然の出会いも学会ならではだと思います。
また、目当てのポスターに人が1〜2名いる場合は横からスッと入って一緒に聞くこともあると思います。もしまだ序盤であれば、発表者にアイコンタクトをして一緒に聞きますよ〜というアピールをして会話に入るのが良いと思います。終盤であれば少し待って、前の聴衆の方がいなくなってから頭から説明してもらう、という感じです。私の場合、できるだけ発表者の方と既にいる聴講者の話に乗っかる形でjump inすることも多いので、逆に他の方がjump inしたそうであれば率先して「あ、よければ一緒に聞きましょう。」とお誘いすることもあります。
最近はウェブ要旨に質問を書き込むことができる学会もあるので、時間の関係でどうしても聞きたかったけど聞けなかった質問については後からウェブを通じて聞いたりもしています。これはポスターだけでなく口頭発表でも同じく。
3. 口頭発表の場合
口頭発表の場合もポスター発表同様、発表前に会えた知り合いに宣伝は行います。併せてツイッターや学会若手の会のSlackなどでも宣伝を行うと、「お、聞いてみようかな。」という人が出てくるかもしれません。自分の前の人の番が終わった瞬間、ざっと人が抜けていくのは寂しいものですが、みんなそれぞれ聞きたいものがあるのでしょうがないです。なので、自分が発表前の準備をしている時にはあまり聴衆を見ず、始まったらそこにいる聴衆に集中して発表を行いましょう。
元気よく、はきはきと。これだけです。
一言目の「こんにちは。」をいつもより少し大きく出してみましょう。そしてその後も会場全体に通る声で発表を続けましょう。大きな声で発表することで聴衆は目覚め、あなたのスライドに自然と引き込まれていきます。発表前に家やラボで練習しておけば、怖いものはありません。スライド送りのできるポインターを片手に、スクリーンの左手前に立って堂々と話すとカッコいいです(そうなるには結構な練習と経験が必要で… 私も歳を重ねてやっとできるようになってきたようななってないような)。
4. 口頭発表を聴講する場合
通常、学会の口頭発表は12分程度の短い時間です。その短い時間に修士であれば2年間の、博士であれば3年間の研究内容を詰め込んでくるので、ついていくのに必死です。質問を考えるにはクリアな頭での参加が必須ですが、学会中は連日遅くまで科学談義がはかどってしまうもの。そこにお酒も加わったりして、翌日に響くことが最近は増えてきました。なので、学会中は楽しいけれどもお酒は控えめにして、翌日に備えることが大事です(今更…笑)。
発表中のメモの取り方ですが、私はパソコンを開いているとメールや他ごとが気になってしまうので、小さめの学会用メモ張をいつも開いています。これだと、パソコンでメモをとるより、簡単な図を書いたりするのが楽で便利ですが、発表会場が暗い場合だと終了です。それを克服するツールはiPadにapple pencilだと思うのですが、なかなか導入できずにいます。今回、お隣にすわらせていただいた鳥居先生もiPadユーザーでした。見習いたい。
質疑応答も3分程度しかありませんので、聞きたいことがある場合は恥ずかしがらず、さっと手をあげましょう。私は他の人が質問した後だと、その質問と受け答えの内容をパッと理解することができているのか不安で質問できなくなるので、できるだけ一番初めに質問することにしています。これも指導教員の先生の受け売りです。また、先輩研究者の方が「発表に対して質問するのは礼儀だ」とおっしゃっていたので、できるだけ質問することを心がけています。特に質問が出ずにシーンとする場だと、発表者も座長も途方に暮れてしまいますので、手を挙げてその場を救いましょう。質問してくれた方の顔は大抵覚えてもらえます。自分が発表者の場合も、「ああ、あの時質問してくれた。」となりますし。そのため、お近づきになりたい研究者がいたら、できれば事前に関連論文や要旨を読み込んでいくつか質問を準備しておくと良いです。そうすると口頭発表の10分という短い時間で質問が思い浮かばなくても、事前に準備したものをぶつけることができますし、発表内容に関連した質問も浮かびやすくなります。
以前学生さんが「僕、学会行ってもぼっちなんで、ご飯も1人飯ですよ。」と言っているところに遭遇しました。しかし、せっかく学会に行くので、憧れの研究者や同年代の友人を見つけられるといいなと思います。そのため、件の学生さんには「まず、口頭発表を聞き質問すること。そうでなければポスターで質問すること。そうすることで会話の糸口ができ、ご飯にも誘いやすくなるよ。」という技を伝授しました。うまく行ったかどうか、結果はまだ聞いていません。
5. シンポジウムオーガナイザーの場合
今回はまさにこれでした。
シンポジウムではある特定のテーマに関連する講演者を集め(だいたい5〜6人)、講演をしてもらいます。大会によっては海外から来る講演者の旅費負担もあるので(上限はありますが)、自分がつながりを作りたい・もしくはすでに共同研究を進めている海外の研究者を呼ぶのに絶好の機会です。自分の好きな方を集めて120分くらいみっちりとその世界に浸れるオーガナイザーという役割には得しかありません。しかし、一番の心配事といえば、そう、聴衆が入ってくれるかどうか、ということです。以前、第86回日本植物学会(2022年)では「栄養繁殖性植物研究への招待〜メカニズムからその活用まで〜」と題したシンポジウムを企画しました。自分の興味とガチンコ合っていて、非常にワクワクするシンポジストに集まっていただき、企画段階では意気揚々でした。が、大会が近づくにつれ『本当に人は集まるだろうか。栄養繁殖植物なんてマニアックな話だし… シンポジストががっかりしないだろうか。』と心配で眠れない日が続きました。最終的に、人は集まり大盛況のうちに幕を閉じましたが、今回も同様に人は集まるのか問題は常に心の片隅にうずくまり胃を痛くさせていました。
やはりここでも打つ手は「宣伝する」ということ。今回はXとSlackでの宣伝を行いました。質量分析のシンポジウムであり、おそらく興味を持つ人は一定数いるだろうと見込んでいましたが、他の大型シンポジウム2題と時間が重なっていたこともあり(そう、たいてい他所の面白そうなシンポジウムとかぶるんです)、直前まで人の入りは読めませんでした。ですが、蓋を開ければ、最大時は100名くらいの聴衆に恵まれ、質疑も途切れることなく、盛会でした。終了後に知人から「ナイスシンポジウムでした!」と声をかけてもらえて、非常に嬉しかったです。
シンポジウムの企画は上のクラスの人がやるもの、という声を聞くこともありますが、私のような若手(もう中堅と言ってもいいかもしれませんが…少なくとも2022年時点は若手と明言できたはず)が開いても誰にも文句は言われませんので、ぜひ学生・若手の皆さんも積極的にシンポジウムを企画すると良いかと思います。
ということで長くなってしまいましたが、普段私が学会行く時に心がけていることです。
最近は年に1回学会に行けば良いかなということで(それ以外の出張も多数あり研究が進まなくなってしまうため)、夏(8-9月)か春(3月)のどちらかに参加することが多いです。しかし、学会ごとに色があり、参加するとやはり楽しいので、時間と体力が許せばできるだけ出たいなと思ってしまいます。研究と出張のバランスですね。
一つの記事にしては長くなってしまったので、本大会の感想については次の記事で。



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