top of page

保育園学際共同研究テーマ探索ワークショップ

  • 執筆者の写真: Kanako
    Kanako
  • 2 日前
  • 読了時間: 4分

2025年10月3日に「保育園学際共同研究テーマ探索ワークショップ」に参加しました。

このワークショップは、学内保育園に子どもを通わせる保護者が発表者となり、それぞれの研究内容を紹介し合うことで学際的な共同研究の芽を探そうという趣旨のものです。裏テーマとして、普段は送り迎えで顔を合わせても「どんな研究をしている人なんだろう?」と気になっていた保護者同士が、研究を通じて一歩踏み込んで知り合う、という目的もあったように思います。


主催者のお二人は、いつもお迎えが最後同士で顔を合わせるうちに話すようになり、この企画を思いついたとのこと。多様な研究分野を背景に持つ保護者が一堂に会し、互いの研究を共有することで新しい協働が生まれる——大学の保育園ならではのユニークな取り組みだと感じました。学際的テーマのワークショップ自体は珍しくありませんが、「保育園」という冠がつくのは日本初、いや世界初かもしれません(笑)。


当日は部屋が予約されていないというハプニングもありましたが、主催者の素早い対応で別室を確保し、予定通りスタート。途中入退室や乳幼児連れもOKというラフな雰囲気の中で行われました。自己紹介に続いて研究紹介が始まりましたが、さすが皆さんプレゼンに慣れていて、分野外の私でも引き込まれる内容ばかり。特に文系の先生が紙資料だけで説明されていたのが印象的で、「理系と文系では発表スタイルから違うんですね」と言われた一言が心に残りました。発表分野は法学、工学、理学、農学と幅広く、まさに学際的な顔ぶれでした。発表者の内訳は以下の円グラフのようでした。

ree

私は今おこなっている虫こぶ研究の話をしましたが、その際に、保護者同士の帰宅途中の会話がきっかけで応募した学内研究費の話にも触れました。今回の企画者と同様、私も帰宅路で話すようになったお父さんが学内研究費のこと(学際フロンティア科学研究所から出ている領域創成プログラム)を教えてくれて、新しいプロジェクトを始動したからです。領域創成プログラムでは3部局以上の共同研究として申請する必要があったため、きっかけをくれたお父さん先生(工学)、もうお一方(人文系)、そして私(理学)の3人で申請しました。このプロジェクトでは、植物の異なる器官に由来する虫こぶの形態多様性に違いがあることを定量し、物理化学的な性質を計測する、ということが目的でした。その研究結果が、以前ブログに書いたiNaturalistを活用した虫こぶ定量論文になります(Bessho-Uehara et al. 2025)。

保育園の帰りにお話しすることがなければ、このプログラムに応募することはなかったですし、たまたま知り合った保護者の専門が材料工学で共同研究に発展したということは、学内保育園における学際共同研究開始のポテンシャルを示しています。


多様なバックグラウンドにも関わらず、質疑は途切れることなく、参加者の研究者としての成熟度・知的好奇心の高さを表しているなあ、と1人感心していました。また、発表途中で赤子が泣いてもみんな微笑みながら受け止め、特に気にせず発表・聴講を続けるところなど、ザ・保護者という感じでとても良い雰囲気でした(笑)

赤子を抱いて質問をする参加者
赤子を抱いて質問をする参加者

所属部局は違えど自分の分野に近い先生もいれば、複数の国をまたいだ国際共同研究をなさっている先生、起業準備をされている先生もいて、その姿勢や問題意識の高さに大いに刺激を受けました。


今回のワークショップは、研究者としての新しい出会いと発想のきっかけを与えてくれる場であり、同時に「保護者」という共通点がもたらす安心感と温かさを強く感じる機会でした。今後このような場から実際の共同研究が芽生えていくことを心から楽しみにしています。そしてこのような取り組みが全国の大学保育園で広まれば良いなーとも思いました。

子供を学内保育園に通わせている皆さん、楽しいのでぜひやってみてください!

コメント


bottom of page